あの日のミルキーウェイ

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「あー、あれ今日だったんだ」彼女は納得したように頷くと膝を折って私の顔を見た。「よろしくね。私は夏海って言うんだ。見ての通り健太のお姉ちゃん。君は?」  私も夏海姉ちゃんに自分の名前を名乗った。それからみんなから呼ばれているニックネームも。 「ん? どこがどうなって『マル』ってあだ名になるの? 名前に『マル』要素全然ないんだけど」 「ああ。それは、僕が丸メガネをかけているから。最初はメガネって呼ばれてたんだけど、クラスでメガネをかけている子が増えちゃって、みんなが『メガネ』になっちゃったんだ」 「そこを細分化するのか……」  彼女が驚くのも無理はない。私のクラスでは変なあだ名をつけることが流行っていたのだ。たとえば、クールで無口な子には「ロボ」、ボーダー柄の服をいつも着ている子には「囚人」など捉え方が違えば軽くいじめ問題になりそうなあだ名で溢れていた。そう思えば私の「マル」などまだかわいい部類だ。  そのことを話してみると、夏海姉ちゃんのみならず、健太までもが「都会の奴の感性は独特だな……」と驚いていた。 「あ、もうこんな時間」
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