あの日のミルキーウェイ

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 夏海姉ちゃんは、そう呟くと「じゃあそろそろ行くね」と立ち上がった。「健太、あんまりマルくんに迷惑かけるじゃないよ」 「うるせーな、むしろ親切に町を案内してやってるんだよ」  健太のコメントをスルーして夏海姉ちゃんは私を一瞥する。 「マルくん、悪いけど健太のやつと付き合ってあげて。ここらは子供が少ないからマルくんが来てはしゃいでるんだ」 「うん、わかった」  私が頷くと夏海姉ちゃんは、にっこりと笑う。そして「また後でね」と帰っていった。 「あ、そうだ」  私は、出かける時に取りに戻ったあれの存在を思い出した。いまもポケットの中に入っている。 「健太くん、これで遊ぼうと思って持って来たんだけど」  ポケットから私は手のひらサイズの四角いものを取り出す。 「おお、これトランシーバーじゃん。使っていいの?」 「うん」私が頷くと健太はニヤリと笑った。 「マルちゃん、俺、面白いこと思いついちゃった。ツアーはここで終わりだ。今から探偵ごっこしよう」 「探偵ごっこ?」 「そうだ。このトランシーバーを使って姉ちゃんを尾行する。面白そうだろ?」
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