未練の学び舎

1/11
前へ
/56ページ
次へ

未練の学び舎

「ねえ、これっていつまで続くのよ?」 「俺様はら減ってきたぁ」  言われてみれば、空は茜色に染まっていた。  ホープがポケットから銀色の懐中時計を取り出すと、それをパカッと開いて時間を確認する。 「大丈夫、次で最後だよ♪」 「お! んじゃあ気合い入れてやんぞぉ!」 「それじゃあ、ご案内いたしま~す」    パチンと指を鳴らして、お決まりの瞬間移動。  次で最後、か。  これが終わったら、またいつも通りの生活に戻るんだ。  それはつまり、ゾンビ事件が解決するっていうこと。また家でのんびりゲームをする日々が待っている。  嬉しいことのはずなのに、胸がきゅっとするのは、なんでだろう。  他人の気持ちがわからないのなんて、毎日のことだけど。  自分の気持ちがわからなくなるのは、はじめてかもしれない。  今日は変なことばっかりだ。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加