宙の街

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 気づくと、周りには誰もいなかった。  宇宙服の中でホープの声が響いた。 ≪テス、テス。聞こえるかな~?≫ ≪おい、どうしてボク一人なんだ!≫ ≪あ、俺様も一人だぜ≫ ≪ユーゴは? いたら返事!≫ ≪うん、大丈夫≫  どうやら四人バラバラにされたらしい。 ≪みんな無事に配置についたみたいだね~。じゃっ、ルール説明いくよ~≫  ピコンと音がして、目の前に文字が浮かび上がる。 【ルール説明】 ・宇宙船にエイリアンが侵入したよ!  ・ヤツらが嫌いなガスで船内を満たそう! ・ガスのボタンは全部で四つ ・エイリアンにつかまるとゲームオーバーだよ ・制限時間は十分、さあやってみよう!  視界の右上に【10:00】と表示される。左下にはマップもある。  四隅に緑色の点が一つずつ。これは僕たちの位置かな。  ところどころで、赤色の点が動いている。たぶんこれがエイリアンの位置だ。 ≪エイリアンには触れられるだけでアウトだよ~。間違っても倒してやろうとか思わないでね≫ ≪ぐぬぬっ!≫  大筋君が悔しそうな声をもらす。 ≪クリア報酬は電光ソードで~す。それじゃ、早速いってみよう!≫ ≪も、もうか⁉︎ ボタンの形状は? エイリアンはどんな攻撃を……≫  本庄君があわあわするも、ホープはスルーを決め込んだ。 ≪あっ、最後に一つだけ~≫ ≪……?≫ ≪人生は、一度きりだよ♪≫ 【START!】  え、今それ言う?   ゲームオーバーになっても、生き返るんだよね?  いや、現実世界で死ぬわけじゃないって言ったんだ。もしかしたら、受けた傷はそのままで、瀕死のままだったり?  え、え、どうなんだ⁉︎  聞きたいことは山ほどあるけど、右上のタイマーは【9:59】と時間を刻み始めてしまう。  あ~、もう!  やるっきゃない‼︎
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