知恵の橋

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 残り三分、いよいよマズいぞ。  隣の指原さんもソワソワしだした。その動きでまた、檻が揺れる。 「な、なぁ。チヒロのやつ、大丈夫だよな?」 「だだ、だ、大丈夫よ。……きっと」  僕は「大丈夫だ」とは言えなかった。  頭上のホープを見やる。彼はミス・ジェーンの金髪を指でクルクルしていた。  そう、彼女だ。彼女がどうにも引っかかる。  どうしてわざわざタイマーを止めてまで、あの人形を持ち出した?  絶対に理由があるはずだ。この問題を解くための、重要なカギが…… 「ホイップのやつ、フランスとアメリカの違いもわかってなかったな」 「タケルだってイギリスとアメリカの違いわかってなかったでしょ」 「……アメリカ」  ––––アメリカ生まれアメリカ育ちのミス・ジェーン  ––––センエツながら通訳をさせて頂きますね  通訳…… 英語……? 「あっ、わかった」 「「えっ⁉︎」」  大筋君がタイマーを確認する。  残り、二分。  彼は両手を上げて声を張り上げた。 「チェーーーーンジ‼︎」 「はっ⁉︎」  本庄君は真っ青な顔をして、僕を見た。  さて、どうしたもんか。  
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