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調べの坂
みんなの元へ戻ると、指原さんに「ケンカしてないでしょうね」と問い詰められる。
「うん、してないよ」
「ボクとユーゴはもう友達さ!」
「え、さっきまであんなに仲悪かったのに」
チヒロが嬉しそうにメガネをクイッとする。
僕は別に、チヒロとケンカをしていたつもりはないんだけどな。彼が勝手に怒って、勝手に負けを認めて、勝手に友達認定してきただけだ。
「そんなの、ボクらにとっては些細な問題にすぎないのさ」
「……そう」
指原さんはそっけなく返事をする。なんとなく、僕には悲しそうに見えた。
僕とチヒロが仲良くなるのが嫌だったのかな。
……考えてもわかるわけないや、放っておこう。
いつも誰かを叱っているイメージが強いけど、彼女って意外と思っていることを口にしないよな。
指原さんとは去年も同じクラスだった。その頃は、なんでもハキハキ言うイメージだったんだけどな。
人の気持ちを考えるのってめんどうだから、はっきり言ってくれた方が助かるんだけど。
「マーヴェラス! 順調だね、この調子でどんどんいこう♪」
ホープが指をパチンと鳴らす。辺りが光で包まれる。
この瞬間移動にも慣れてきたな。
さて、次はどんなゲームだろう。
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