調べの坂

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 地面に突っ伏した大筋君の頭上には、真っ赤なハートが一つ輝いていた。  パンパカパーン!   どこからともなくトランペットのファンファーレ。  見上げると、ホープが指揮棒をるんるんと振っていた。  ということは…… 「ゲームクリアだ!」  頭上からチヒロの嬉しそうな声。 「うおぉぉぉ! 間に合ったぁ!」 「大筋君、ありがとう」 「ユーゴのおかげだ! サンキューな!」    大筋君にガシッと肩を組まれる。く、苦しい…… 「おい、ユーゴが苦しんでるだろ! 離せ!」 「なんだよケチ。んじゃチヒロがかわれ!」 「なっ、やめろぉぉ」  大筋君が降りてきたチヒロに抱きつく。  もうツンツンヘアーじゃなくなってる。あのままでもよかったのに。  指原さんはどこだろう。元の姿に戻った町並みをキョロキョロ見回す。 「あっ」  彼女は坂の上にいた。  とっくみ合いを続けている二人を置いて、僕は坂を駆け上がる。
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