10人が本棚に入れています
本棚に追加
ランドセルを背負い、昇降口へ向かう。
靴をはいて校門へ向かうと、なにやらそこが騒がしい。
高学年はおもしろそうに、低学年は怖いものでも見るように、チラチラと横を通り過ぎる。
あ~、めんどくさい。
僕が予想した通りの三人が、そこに。
「なんでタケルがいるんだよ!」
黒髪メガネの本庄 千博は、学校一の秀才だ。
本をなにより愛していて、片手にはいつも難しそうな本をかかえている。
バカなヤツが嫌いらしいので、きっと僕のことも嫌いかな。
「あぁ⁉︎ そんなの俺様の勝手だろ!」
大筋 武琉は学校一のスポーツマン。
焼けた肌に、明るい茶髪を後ろで一つに束ねている。身体能力はピカイチだけど、頭が、そのぉ、よくない。
いろんなスポーツクラブからのスカウトを全部断っているらしい。
「二人ともいい加減にしなさいよ!」
ピシッと叱ったのは、指原 美法。学校一の音楽家だ。
ツヤツヤのぱっつんボブに、キリっとしたつり目の子。ピアノの腕はプロ並みで、両親も音楽家なんだって。
彼女とお近づきになりたい生徒はたくさんいるけど、怒られるのはイヤみたいで、誰も寄りつかない。
僕は、平和な学校生活を送りたい。
周りに迷惑をかけず、注目もされず、家に帰ってゲームをしたい。
だから、ああいった目立つ側の人たちとは、なるべく関わりたくない。
……はずなんだけど。
「あ、もうユーゴ! おそいじゃない!」
「まったく、ボクの大切な時間を」
「おう、早くかえろーぜー!」
周りの生徒がいっせいに僕を見る。
ああ、なんでこうなった!
最初のコメントを投稿しよう!