始まりの川辺

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 ランドセルを背負い、昇降口へ向かう。  靴をはいて校門へ向かうと、なにやらそこが騒がしい。  高学年はおもしろそうに、低学年は怖いものでも見るように、チラチラと横を通り過ぎる。  あ~、めんどくさい。  僕が予想した通りの三人が、そこに。   「なんでタケルがいるんだよ!」  黒髪メガネの本庄(ほんじょう) 千博(ちひろ)は、学校一の秀才だ。  本をなにより愛していて、片手にはいつも難しそうな本をかかえている。  バカなヤツが嫌いらしいので、きっと僕のことも嫌いかな。 「あぁ⁉︎ そんなの俺様の勝手だろ!」  大筋(おおすじ) 武琉(たける)は学校一のスポーツマン。  焼けた肌に、明るい茶髪を後ろで一つに束ねている。身体能力はピカイチだけど、頭が、そのぉ、よくない。  いろんなスポーツクラブからのスカウトを全部断っているらしい。 「二人ともいい加減にしなさいよ!」  ピシッと叱ったのは、指原(さしはら) 美法(みのり)。学校一の音楽家だ。  ツヤツヤのぱっつんボブに、キリっとしたつり目の子。ピアノの腕はプロ並みで、両親も音楽家なんだって。  彼女とお近づきになりたい生徒はたくさんいるけど、怒られるのはイヤみたいで、誰も寄りつかない。  僕は、平和な学校生活を送りたい。  周りに迷惑をかけず、注目もされず、家に帰ってゲームをしたい。  だから、ああいった目立つ側の人たちとは、なるべく関わりたくない。  ……はずなんだけど。 「あ、もうユーゴ! おそいじゃない!」 「まったく、ボクの大切な時間を」 「おう、早くかえろーぜー!」  周りの生徒がいっせいに僕を見る。  ああ、なんでこうなった!
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