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帰り道に渡る一本橋。
おしゃべりなんてしない、バラバラの四人組。
僕はおいしそうな雲を眺めて、本庄君は地域新聞を読む。大筋君は黄色い蝶々を追いかけている。
指原さんが「前を見て歩きなさいよ!」と、そんな僕たちを叱る。
「羽照野病院前で倒れていた男性、未だ意識戻らず。コンビニの窓ガラスを割ったとして五十二歳の男性逮捕、ゾンビ化とみられる。ペットのニシキヘビが脱走、ゾンビ化の恐れあり……」
「お~い、テンション下がる話ばっかすんなよなぁ」
ブツブツと地域新聞を読み上げる本庄君に、大筋君がつっかかる。
「嫌なものから目を背けてどうなるんだ。それだからお前は––––」
「ああ? なんだよ、言ってみろよ」
これはマズイ空気だぞ。
でも、めんどうはゴメンなので、気づかないふりをする。
「ちょっとあんたたち、いい加減にしなさいって!」
指原さんが二人の間に割って入る。僕とは正反対だなあ。
と、その時。
大筋君に掴みかかろうとした本庄君の右手が、彼女のランドセルに当たった。
ポチャン
「「「「あっ」」」」
ランドセルに着いていた真っ赤なお守りが、川の中へ落ちてしまった。
指原さんはみるみる顔を青くする。
「やーいやーい、チヒロのせいだぁ」
「タ、タケルがつっかかってくるから!」
「……て」
「「え?」」
「はやく探して!!!」
「「「はい!」」」
鬼のような形相の指原さんに、僕たちはそう返事をするしかなかった。
にらまれたから反射で答えちゃったけど、僕って関係ないよね?
あ~、めんどくさい。
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