再会

8/10
1680人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
 「……それは、秘書としてということなのか?弘君は結構策略家だ。実は隆より厄介かもしれない。口に出さないで考えて行動するタイプだ。石井コーポレーションは隆だけならどうということはないが、弘君がやっかいなんだ。うちもそれで気をつけている」    そうだったんだ。  私、分かっていなかったのかも知れない。    じっと考え込む私を見て、匠さんは頭を撫でてくれた。    「大丈夫だ。何かあれば守るから。それと、直也達だが……」    「はい」    「あいつから事前連絡がなかった。皐月さんのことが今回の取引の引き金のようだ。まあ、あのくらいの額はどうということはないが、そのまま石井の傘下に入るようなことがあれば大変なことになる。皐月さんはそちらの取引企業のお嬢さんらしいな」    「調べたんですか?」    「悪いが、直也がこちらに話してこないことは調べるしかない。こちらも対処できないんでね。皐月さんの担当役員が直也の大学の後輩らしい。面倒なことになった」    どうしよう。    「遙には関係ない。気にしなくていいが、巻き込まれて何か困ることが起きたらすぐに言ってくるんだ。わかったね?」
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!