素性

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 部屋の前では皐月がドアを開けて待っている。    皐月の前で彼女の顔を嬉しそうに見て何か話しかけている。  三人で声を上げて笑い、直也さんが部屋へ入っていった。  原田取締役が入ったあと、皐月がドアを閉めて廊下を給湯室、つまり私のいる方へ歩き出す。  私は給湯室の前で彼女を見つめていたが、気配に気づいた皐月が顔を上げてこちらを見た。  「遙。おはよう」  「おはよう。蓮見専務いらしたのね」    「うん」  皐月が珍しく、スカーフしてる。    「スカーフ珍しくない?」    小声で私に話す。  「……昨日、彼のマンションだったの。そこから来たから」    つまり……スカーフをずらしてみると、鬱血の後がいくつも。  「……同棲してないよね?」    「してない。したいと言われたけど、するつもりない」  相変わらず直球勝負なんだ、蓮見専務。  本当に皐月にメロメロなのね。    でもこの皐月が落ちるんだから、それだけ相性がいいんだろう。  コーヒーの準備をすると、給湯室を出て行く。  私も、急いで戻った。  決裁書類がたまっている石井取締役は、午前中は社内の予定だ。
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