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「春樹が心配しているようなことは取締役から何もされてないし、私に気があるような素振りをされたこともない。でもごめんなさい。あのとき、貴方の話を聞く余裕が私にはなかった。そんなことがあったなんて知らなかった。牽制って気のせいじゃないの?」
こちらをじっと見る。
「……お前と付き合っていると言うことが耳に入ってから、何かというと俺の所に寄って話しかけてくるようになったんだ。しかもお前のことを聞いてくる。そして、お前がどんなにいい秘書か俺に言うんだ。そして結婚退職させるなよとか」
まさか……本当に?
「俺も、いい加減煩わしくてさ。お前に言おうかどうしようか悩んだ。でもお前の直属上司だし。言うと悩むだろ。お前結構繊細なところがあるし」
春樹……私のことを思って、言わないでくれてたの?
「今思うと奴の策略にはまって作戦負けしたかもな。取締役は別れたの聞いてほくそ笑んでいた」
「……それ、本当?」
「嘘言って今更どうするんだよ。お前が戻ってくれるんなら……」
「何言ってんのよ?清水さんはどうしたの?」
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