裏の顔

9/9
前へ
/226ページ
次へ
 「春樹、ありがとう。何かあったら相談するわ。あなたも自分を大切にね。清水さんとのことも公になると、私とのことからまだ日が浅いし」    「だから、言ったろ。転職も覚悟のうえだ。とはいえ、俺の営業成績を捨てる覚悟がこの会社にあるかねえ?」    「ふふ。確かに。仕事も出来て食いしん坊な春樹を好きになったんでした」    「やめろよ、過去形。マジうざい」    そんな顔を見て、また吹き出して笑ってしまった。  話せてよかった。春樹の顔を正面から見られるようになった。  そして、彼を好きだったこと、良かったと思えるようになった。  でも取締役の話は……気をつけよう。秘書として大切にされていることは口に出してくれているから知っていた。    春樹にそんなことしていたなんて……。    表の顔と裏の顔。公私で別な顔がある人?    考えると寒気がした。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1908人が本棚に入れています
本棚に追加