再会

9/10
1698人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
   「……はい」  そう言うと、パリから戻ったら連絡すると言い残して、また抱きしめてキスをした。    先に下へ降りると、そこには私を柿崎さんが待っていた。    そしてもう一人、柿崎さんに似た男性がそこにいた。  「初めまして。柿崎の息子です。堂本コーポレーションの秘書室長をしております」    綺麗にお辞儀をされる。    「初めまして。あの」    「匠様は私がお送りします。古川さんは父が。これからお目にかかることもあるかもしれません。どうぞよろしくお願いします」    そう言うと、去って行く。  さすがにちょっとびっくりした。    柿崎さんに促されて、乗ってきた白いセダンに乗る。そして、マンションの前まで送ってもらった。  私は今親元を離れて会社近くのマンション暮らし。実家は関東だが神奈川の田舎のほう。  とても通いきれず、三年目を機に一人暮らしを始めた。結構適当な性格なので、食事もこだわりはないが、さすがにコンビニ弁当や外食は続けば辛くて、親のありがたみを痛感している。    ただ、彼氏がいる時に実家はやはり面倒。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!