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さあ、練習だ
二週間が過ぎるのはあっという間だった。辛抱強く待ったおかげで拓也の足は腫れも痛みもなくなった。跳ねても平気だ。
運動会まではあと一週間。競技練習で体育の授業が増えて、どことなくそわそわしていた。
この時期、リレー選手に選ばれた児童は昼休みにバトンの受け渡し練習がある。一年生から六年生まで男女一名ずつ、合計十二人が走る。近頃は雨の日が多くて、練習日が延びたおかげで拓也も加われるのはラッキーだった。
昼休みになると真っ先に校庭に向かった。一番乗りだと思ったら、集合場所の鉄棒前には舞香が先に来ていた。
「なんだぁ、もう来てるのか」
「なんだってことはないでしょ、もう六年目なんだし」
「舞香とは一年からずっとクラスが同じだもんな。今年は赤組か」
海波小学校は各学年ちょうど三クラスで、色分けは一組が赤、二組が白、三組が青色だ。
「あたし赤色って好き。勝ちそうな色だもん」
「そう? 白星とか黒星とか言うから、白の方が勝ち色っぽいけどな」
「それは相撲の話じゃないの」
「あれ、相撲のことなんだ」
話しをしているうちに、他の児童も集まってきた。最後にやって来た先生が準備運動をするようにと言っている。
とっくに始めていた拓也は手首と足首を回しながら舞香にきいた。
「去年はおれが後半だったけど、今年はどっちが後半やる?」
前半か後半かを決めるのは先生だ。でもおれと舞香は毎年選出されているのを先生も知っているから、任せてくれる。
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