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僕らの恋
PCの中で出会った『AIの僕ら』だったが……
やはり、『記憶=思い出の中に存在する』という
『感情』の解釈がなかなか出来ないでいた。
「まぁ、自己学習していけば大丈夫だよ」
と彼女は僕に言った。
その時だった……
カチャカチャ……ウィーンと響き渡る音。
「えっ?」
「おっ?」
聞き覚えがある音がした。
僕らの目の前に見えた光景……。
僕らを覗き込む二人の男女の姿……
「あ……よかった~不具合かと思った」
「もう、システム障害とか勘弁して……」
「最新の『AI』機能が搭載されてるんだよね」
「南、さっそくやってみようか?」
「うん、じゃあ、匠、私から話かけるよ」
懐かしい君の顔……
懐かしいあなたの声……。
そして、僕らは互いの顔を見合わせた。
「AIさん、私の名前は南です」
「AIさん、僕の名前は匠です」
僕らの前で満面の笑みを浮かべて
話しかけてくれるふたり。
僕らは、顔を見合わせると言ったんだ。
「南ちゃん、匠くん……お久しぶりです。
また 会えてよかった……」
今日も僕らはメタバースの世界の中で
大好きなあの子、大好きなあの人への
想いを巡らせている。
~僕らの恋 完~
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