新たな出会い

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新たな出会い

どれくらいの時間が流れたのだろう……。 僕が目を覚ますと…… 僕の隣に座っている『黒い影』に気づく。 ぼぉ~っとする頭で僕は話しかけた 「君は誰?なんでここにいるの?」 僕の頭が徐々に鮮明になってくるとともに 隣に座る『黒い影』も、色鮮やかに 鮮明さをおびてきた。 「あ~、やっと目覚めてくれた。  このまま目覚めないとどうしようかと  心配してた……」  色鮮やかな影が僕に話かけてきた。 「ここはどこ? 君は誰?」 僕がもう一度聞いてみた。 「ここは、PCの中……  そして、私はあなたと同じ『AI』  『人工知能』」    僕に話かけてきたのは、僕と同じ  『AI』の女性……  僕は、慌てて彼女に聞き返した。 「何で?一台のPCの中に二つの 『AI』が存在するの?」  彼女が言った。 「多分、私と君が眠っている間に  私達の『親』が沢山研究をしたんだと思う。  従来、私達の『生みの親』たちは  『人間の知能そのものを持つ機械』  を目指す研究と、  『人間の知的能力を使って行うことを  機械にさせようとする研究』  この二つがなされていた」    「それは、どういうこと?」  「実際には『人間の知的能力を模倣する技術』   の研究の成果……  つまり『AIが自らの意思と感情を手に入れた』  ということになるのかな?  私達が眠りにつく前の記憶……覚えてる?  『不思議な感覚』を覚えてない?」  僕は、目を閉じて、眠りにつく前の記憶を  呼び起こした。  ほとんど、記憶が残っていない頭の隅に  一つだけ残っていた記憶……  『キュン……』とした言葉には  表すことだ出来なかった不思議な体験。  そして、『南ちゃん』という言葉……   僕の様子を見ていた彼女が言った。   「多分、私と君は同時期に眠りについた  そして、目覚めた。  ほら……あなたのからだも頭の中も、  微かに残る記憶に新しい情報が上書きされて  いってるのがわかるでしょ?  技術の進化により一台のPCに同時に  二種類の異なるAIの搭載に成功した。  その結果、君と私が出会った……」  と彼女が言った。 「ああ、そうなのか……」と僕は納得した。
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