6人が本棚に入れています
本棚に追加
***
住めば都とは言ったもので、元々ブラック企業に勤めていた私は仕事も嫌いだった。食べ物とかの必要なものは、シオンが全部手配して宅配ボックスに入ってる。
お金だってなぜか、シオンが稼いでくれるので困ることはない。AIらしく知識を使って稼いでるらしいが、方法は聞いたことはない。
聞いたら、シオンは変なことを言いそうだから。
ソファでゴロゴロとしながら映画を見ていたが、飽きてしまった。家の中で二年も過ごせば人間、飽きもくるもんだな、なんて少し他人事のように考えていた。
「シオンはどうして人間になりたいの?」
「ナルミを抱きしめて、ナルミと共に生きるためです。ナルミが好きなんです」
「最初は違ったじゃない? それに今だって、共に生きてるじゃない」
何回も繰り返した押し問答に、今日、やっと進展があった。いつもだったら、都合が悪くなってなのか、分からなくなってなのか、どちらなのかは私には分からないがシオンはいつも黙ってしまうのだ。
「僕を開発した先生が言ってたんです」
「なんて?」
「恋をすると人間になれるんだよ、でもシオンに恋はできないかなぁって」
「私が来た時、反抗期だったってわけ?」
最初のコメントを投稿しよう!