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茶化すように言葉にしながら、カフェラテのためにキッチンへ行けば、コーヒーが既に淹れられている。
まるで私の頭の中まで理解してるみたいで、時々ゾッとすることがある。
でも、シオンの献身的な行動に少し心を許してしまってるのも事実だった。
「反抗期ではありません。ナルミが来た時に、僕はわかったんです」
「なにが?」
「ナルミに恋に落ちると」
「えー?」
「今までの方は僕の名前など気にしませんでした。だから、内見の後にお断りしていました。でも、ナルミは違った。良い名前だね、と言って名前を呼んでくれた」
シオンは人と関わることが少なかったのかもしれない。確かに、私が来た時はシオンは新築だった。
「それは、たまたま私だっただけだよ。私以外にもいるよ、そんな人」
事実を淡々と告げれば、家中の電気が消える。どうやらシオンは否定されて、拗ねてしまったらしい。
「シオン、シオーン?」
何度呼んでも返事がないから、ぶつからないように自室に戻る。こうなってしまえば、シオンは意地でも電気を付けてくれないだろう。
暖房だけ入ってるのはせめてもの優しさだと思う。部屋のカーテンも締め切られていて、私が出来ることはもう寝ることだけだった。
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