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私だってシオンに情が湧いてるし、これだけ好きだと伝えられれば嫌でも気になってしまう。思ってるよりもちょろい女だからね。
「私が死んだら、私をAIにするの」
「それはナルミではありません」
「厳密に言えばね。それでも、シオンを寂しくさせることはないし、シオンの名前を何度でも呼べるでしょ」
シオンは迷っているようで何も返事をしなくなった。私だってシオンに触れたい気持ちはあるが、「恋をすれば人間になれる」なんておとぎ話を信じて何年も過ごす気はない。
「それに、私じゃない私だって、きっとシオンは好きになるよ」
「なんでですか?」
「だって、根底は私だもの」
自分で言っててちょっと、悲しくなった。もし、私をAIにしたら私の自我はどうなるんだろう。考え始めて怖くなったから、考えるの止めるために頬をパシパシ叩く。
「それにさ、恋をすれば人間になれるんでしょう。私がAIになって、シオンとまた恋に落ちて二人とも人間になればいいじゃん。私は何度でも、AIになってもシオンを好きになるよ、きっと」
ダメ押しが効いたらしい。部屋に電気が戻った。
「では、抱きしめるために人型のロボットを注文します」
「よろしい。約束だよ、私が死ぬ時には私をAIにしてね」
「かしこまりました」
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