公園にて

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公園にて

 その男はまず、”限りなく不老不死に近い異界の住人”であることを自称し、自らをナツキと名乗った。  ナツキはヒナタという人を親のように育て、兄弟や友のように隣を歩いた。やがてはパートナーのように過ごし、祖父と孫のような関係性になるまで、形を変えながら一生を家族のように過ごしたらしい。そして、僕が生まれる何年か前に、ナツキはほとんど今と変わらない姿で、年老いて弱ったヒナタを看取ったというのだ。 「それでヒナタが死ぬ間際、約束したんだ。必ず生まれ変わりを見つけ出して、また一緒にいるって」 「……そのヒナタって人の生まれ変わりが僕ってことですか。いわゆる、前世」 「そういうこと。お前、飲み込みが早いな」  ナツキと名乗った男の話は、現実味がなくていまいちピンとこない。けれど、何故だか嘘は付いていないと思った。それどころか、初めて話す気がしないし、懐かしさしすら感じる。
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