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「ただ、それはヒナタって人との約束でしょ。僕には関係はないですよね?」
「確かにそうだな。それでも、どんな姿になってもまた一緒にいたいんだ。経緯はどうあれ、やっぱりお前とは出会う運命だったんだ」
「……えっ、あぁ、そうですか」
まっすぐに僕の目を見て、恥ずかしげもなく言葉を紡いだナツキにかける言葉がみつからず、なんとなくの言葉を返すことしか出来なかった。
すると、話を聞いているうちに時間が経って、夕日が向こうの山の方に沈みそうになっていることに気付く。
「あ、もうじき日が沈むな。引き止めて悪かった。こんな時間だ、親が心配するよな」
「いや、別に。一緒に住んでないから」
「お前高校生だよな? 学生服着てるし」
「そうだよ」
「なんで。人間は高校生くらいまでは実家で暮らすもんじゃないの」
「全員が全員じゃないよ。僕の場合は親が再婚して家に居場所ないから出てきた。遠くの高校に進学することを口実に、一人暮らしをしてる」
「……そうか。今生でも親には恵まれなかったのか」
「今生でも?」
「前は捨て子だった」
「あ、そうか」
「それよりちょうどいいや。じゃあしばらく泊めて」
「え?」
「最近このあたり来たから、住む場所決めてない」
「……しょうがないなあ」
聞けば、このままだと野宿するしかないらしい。仕方ないので、僕はナツキを家に泊めてやることにした。
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