再会

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再会

ピピピピ 目覚ましの音がけたたましくなり、伊藤由希子は目を覚ます。五時半に起き、顔を洗う。秋になると水が少しずつ冷たくなっていることを実感する。 身支度を整えると朝食の準備をする。 本当はお弁当を作りたい気持ちもあるが、夫である孝之は共働きの由希子に負担をかけたくないと言ってお弁当は個々人で調達するのが日課だ。 朝食の準備ができた頃を見計らったように孝之がのっそりと起きてきた。 「あ、孝之おはよう」 「おはよう」 「ご飯できてるよ」 「ん」 そのまま歯磨きに行って顔を洗いに孝之は洗面所に姿を消す。歯を磨かないと目が覚めないというのが彼の言い分である。 「いただきます」 「いただきます」 二人でテーブルに向かい合って朝食を食べる。これはどんなに忙しくても欠かせない日課だ。 由希子は派遣会社に登録し、システムエンジニアとして働いている。一方、孝之は営業で朝から客先に行ったり、夜は接待などでかなり忙しい。 要は二人とも激務を抱えているということになる。 何気ない会話。他愛無い時間。 それでも朝食を二人で食べるのは心地よい時間だった。
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