ルーシアと人工知能

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緊急事態発生(Emergency!)総員退避(Abandon Ship)……」 けたたましく鳴り響く警報音。 宇宙ステーションの乗組員(クルー)たちは顔を見合わせる。 これといった異常事態は発生していないはず。 この警報はいったい、どういうことなんだ? 私は相棒に問う。 「シスタン、どういうこと?」 「ハイ、ルーシア。コノ宇宙ステーションカラノ、総員退避ノ勧告デス」 「いや、それは警報を聞けば分かるわよ。私が聞きたいのは、いったい何が起きたのかってこと!」 「ルーシア、ソンナニ イライラ シタラ、美容ニ悪イデスヨ」 「あのさ、今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」 とは言え、シスタンを作ったのは私だから、今さらシスタンに文句を言っても仕方がない…… ブー ブー ブー ブー ブー ブー ブー  ブ───────── 警報音が短く7回鳴った後、8回目が長く鳴った。 これは、総員退避準備のための非常呼集の合図だ。 クルー全員に、船外作業用の宇宙服着用命令が出た。 船内の空気がなくなる場合に備えるためだ。 私たちは全員、宇宙服に着替え、各所を点検して回った。
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