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「一緒にお話できないとしても、おんなじクラスになりたいなぁ」
「…なん、で」
「ん〜、やっぱりわからないです!でも、深月くんとは仲良くなりたいって思います。」
時間を知らせる鐘がなる
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…おとぎ話のシンデレラはこの音を絶望しながら聞いていたんでしょうね。
おっと、今は関係ありませんね。
「皆さん、今から紙を配ります。それぞれのクラスが書いてあるので、開いて確認してください。交換しても変わりませんからね。」
?どういうことでしょう。
先生らしき人はみんなに紙を配り始めました。
「―――はい、咲花 凍歌さん。」
「あの!」
「はぁい?」
「なんで僕が咲花だってわかるんですか?」
「さぁ、どうしてかしらね?」
その先生はウインクをしながら口角を上げて微笑んでいる。
「か、かっこいい…」
「…君のかっこいいの基準って謎だね。」
「そうでしょうか?あ、そうだ、何組なんですか?」
深月くんは紙を開いて確認した。
「…B組。」
「え〜っと、僕は…あ!一緒です!」
「…良かったんじゃない?」
「うん、嬉しい!」
「数分後に入学式が始まります。トイレに行きたい人は今のうちに行ってください」
先生が声をかけると数人の生徒がトイレに向かった。
トイレをするってどんな感じなんでしょう?
「…君は行かないの。」
「うん、だいじょぶ。」
周りを見ると半分以上の生徒がトイレに行ったみたい。
き、聞きたい。どんな感じなのか。
僕が一生体験しないことですから…
「…なんでトイレの方をそんなキラキラした目で見てるの?
…行きたかったら行っていいのに」
「行かないですよ?大丈夫です。」
「…何が大丈夫なのかわかんないけど」
そもそもトイレに行きたいってどんな感じなんでしょう?
パラパラと生徒が帰ってきて、全員揃った。
「うげ、さっきの変な人。」
「私はB組!おなじ組の人、喜ぶがいい!」
「…最悪」
「同感です」
「クラスごとに一列に並んでね。順番はバラバラでいいよ。」
変な人が先頭に居たから僕達は最後尾に居た。
あんなのと関わっていいことないと思いますしね。
「そういえばさ、僕ってどう見えてるんですか?真面目そう?」
「…真面目には見えないかな。
…ただ顔は綺麗。」
ま、真面目に見えないんですか?
「そっ…かぁ。綺麗ですか…」
なんか、変装の意味がない気が…
「…さっきから周りにチラチラ見られてるでしょ。それが証拠。」
なんか一気に話す文字数多いですね。
でも、そっかぁ。嬉しいなぁ。
「そういう君の目も、とっても綺麗。」
美しくて、どこか不安そうな、青色の目。
こんなきれいな目、見たことないかもしれません。
「…そう?」
「はい。僕は好きですよ。」
「…す、」
なんか戸惑ってる。
あれ?顔赤い?
「深月くん、熱ないですか?大丈夫?」
「…ね、熱なんてないよ。」
「ならいいんですが」
「皆さん、静かに着いてきてくださいね。」
どうやら入学式が始まるようで、先生が先頭を歩いて広い部屋に入れられた。
前には――優しい光のおばあちゃん。
「え〜、皆さんはじめまして。校長の美佐子と申します。これから楽しいこともつらいこともあると思いますが、一緒に乗り越えていきましょう。」
普通の人の話よりちょっと長いけど、思ってたより短い校長先生の話を聞き終えて、担任の先生の発表、各教科ごとの先生の発表が始まった。
「A組の担任になりました、雅弓です。教科は科学で〜す」
ちょっとふわふわした感じの先生だね。ほんの少しあたたかそうな光に包まれてる。
「B組の担任、教科は魔法に関してです!」
「先生、名前。」
「あわわ!すみません、水狐と申します!」
ちょっとドジっぽくて元気な先生。パッとした感じの光に包まれている。
「C組担当、らいだ。教科は武術!」
強そうで元気な先生。少し光が強い。白いというより、明るい光。
「以上になります。そして、皆さんの生活のサポートをさせていただきます亜湖と申します!困ったことがあればいつでも相談を〜」
「国語、数学などの基本教科は、担任の先生が行います。」
入学式が終わった。次は教室移動。
「B組さんの教室はここです。席は自由でいいんですが、うるさくしてたり、サボったりしてるときは容赦なく席を移動させる決まりですので!」
自由なんだ!
じゃあ、深月くんの隣に――あ、なんか学校ではそんな話しかけないで、みたいなこと行ってた気が…
「ねぇ、深月くん。隣に座るのは、いいですか?」
「…だめとは言わないけど、仲良くする素振り見せたら君も巻き込まれるから。」
「…なにかあるのなら相談してくださいね。解決はできなくても少し気が楽になったりしますよ。」
僕の言葉に深月くんはコクっと頷く。
何もなければいいんですが…
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