新入生歓迎会

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新入生歓迎会

「零。休憩もできたし、新入生歓迎会に行こう!美味しいご飯とかいっぱいあるみたい。」 「ええ、お供しますよ。」 僕たちは早速会場に向かった。 「…賑やかですね。お体の方大丈夫ですか?」 「たまにピリピリするけど、多分大丈夫。でも、触れると大変だから人気のない方によっておきましょう。」 …ん、あれ? あそこにいるのって深月くん? あと、駿さん。それと…さっき僕に話しかけてきた女の子でしょうか? 「ねぇ、何して――」 「ホント目障りなんだけど。もうずっと寮に引きこもってれば?」 「なんか返事しろよ。…何、睨んでんだよ。あぁ?」 「…」 二人で、深月くんをいじめてる?なんでそんなことしてるの? 「気が弱そうだから彼女にでもして虐めてやろうって思ってたのに…なんで邪魔すんだよ?」 「そーよ。しかもうまいこと行けば大金が手に入んのよ?邪魔しないで頂戴。」 「…やっぱりお金目当て?彼女は…気弱くないよ。強くて、や、」 僕のせい?僕のせいなの? 「なんだよ。最後まで言えよ、モサ陰キャが。」 「何、あの子のこと好きなの?ならなおさらいじめがいがあるわ〜w」 「ねぇ、さっきから何なの?」 はっ!話しかけてしまいました! 「え、き、聞いてたの?」 「ど、どうしたんだいマイハニー?」 「散々人のこと虐めてよくそんなことが言えるね。腐ってんの?」 「…咲花さん、」 大丈夫、僕は巻き込まれてもいいから。 むしろ、僕が巻き込んでる側じゃん。 「あらあら、あなた達私達の大切な大切な凍歌様に何しようとしていらっしゃるんですか?」 「零?」 「自己紹介がまだでしたね、メイドの零と申します。」 口元はすごく笑ってるけど…目元が真顔ですよ。 零がこんなに怒ってるの初めて見た。 「…っち。めんどくせぇことになった。」 「私このあと用事あるので。それでは。」 女の子の方はそそくさと逃げていった。 …取り敢えず今は置いといてもいっか。 「俺も。暇人のお前らと違ってこっちは忙しいんだよ」 そう言って駿が零の隣を通ったとき。 「…今回はそれでも許しますが、ね。」 底冷えするようなそんな声に思わず僕もブルリと震えてしまう。 「大丈夫ですか?」 「…別に僕は慣れてるので。」 「あ、零。この子が深月くんです。」 「噂の…。凍歌様と話してくださり、ありがとうございます。凍歌様は外に出たことがないため、友達を作ったことがないんですよ。お話してくれるだけでも嬉しいです。」 さっきまでの零はどこにもいなかった。今はニコニコと笑っている。 大人って、かっこいい。 「深月くん、よかったら一緒にご飯食べよ?スイーツもいっぱいありますよ!」 「…さっきの、気にしてないの?」 「うーん、深月くんが言われてるのにはムカついたけど、君が大丈夫ならそこまで気にしないですかね。」 深月くんは変な人を見るような目で僕を見る。 「…いいよ、一緒に食べよう。」 「零、メガネ外しちゃだめ?」 僕はこっそり零に聞いた。 少し前が見えにくいのだ。 「う〜ん…まぁ、今は私が隣りにいるので…いいですよ。」 やった!そう短く声を上げて零にメガネを渡した。 「…目、綺麗だね。」 「深月くんだって。隠れちゃってるのがもったいないですよ。」 深月くんは照れたように前髪を触る。 「確かに、お二人共とても目が綺麗ですね。まるで宝石のよう…」 深月くんは更に照れちゃった。 褒められ慣れてないんでしょうか? 「深月くんは寮、どこらへんなの?近かったらうちの方でお茶でもしよ!零の入れる紅茶、美味しいんだよ。」 「…距離はあるけど、考えとくよ。」 断られなくてよかった。 わぁ!スイーツいっぱい! 「…咲花さん、甘いものばっか食べてたら胸焼けするよ。」 「まぁ、ちょっとくらい大丈夫でしょう。」 マカロンとか、カップケーキとか、クッキーとか…おまけにタルトまで! 「深月くんは好きな食べ物、無いんですか?」 「…生きれる分だけ食べられればいい。」 食べることに対しての欲がないんでしょうか? 甘いもの、美味しい… って、口の中甘すぎますよ! 「サラダでも食べに行こっかなー…」 「…甘いものはもういいの?」 「口の中甘すぎるからちょっと口直しにね〜」 「…そこはみんなお肉っていうのにね。」 お肉はちょっとでも食べたらすぐお腹膨れちゃいますから… 「お嬢様はあまりお肉を好き好んで食べないんですよ。」 「…そうなんだ」 ん〜。やっぱり野菜も美味しいですね。
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