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「そっ…か。ごめんなさい、つらいこと思い出させちゃって。」
深月くんは必死に泣きそうなのを堪えている。
「…言わせちゃったからには、僕の秘密も教えないといけませんね。」
髪の毛が黒いと気味悪がられるって、初めて知った。だからカツラは薄い金髪だったんですね。
会場を見ても黒髪の人はおりませんでしたし。
僕はカツラを外した。
「この通り、僕も黒髪です。」
「…カツラ、だったの?」
僕は頷く。
「…髪、綺麗だね。」
「そうでしょうか?あと、僕、性別がないんです。」
深月くんは目を見開く。
「制服が女なのはメイドたちが見たいかららしいです。
トイレに行ったこともありません。食べたものは体の中で全部消えちゃうんですよ。」
深月くんは静かに自分の足元を見つめている。
「すみません、急にこんなびっくりするような話して。」
「教えてくれて、ありがとう。…気づいてくれて、ありがとう。」
気づいたのは能力のおかげ。教えたのは教えてくれたから。
だからお礼を言われると少し申し訳なくなる。
「こちらこそ、教えてくれてありがとう。」
深月君は少し顔を赤らめて頷く。
「やっぱり僕、教室でも深月くんとお話したいです。」
「...君がそれであいつら何か言われても良いなら、大丈夫。」
返事を聞いて思わず僕の顔が緩む。
これから沢山深月くんとお話できるんだ!
嬉しいなぁ。
これからよろしくね、深月くん!
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