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変装
「ほ〜ら、好きなようにさせていただきますよ。」
「ちょ、ちょっと、僕で遊ばないでくださいよ!」
今は、メイドさん達にしこたま着替えさせられています。
「にしても…」
「何でしょう。」
「なんと、お可愛らしい…」
嬉しいのは嬉しいんだけど、このメイドさん達に言われるとなぁ…
「やっぱり滲み出る可愛いオーラは隠せないですね…」
「…っていうか、服は制服だから選ばなくていいじゃないですか!」
ズーンという音が聞こえてきそうなくらい、みんながっがりし始めた。
「ぐぅ、バレちゃいましたか…」
意図的だったんですか…
「それよりっ、その美しい髪と瞳を隠さなくっては。」
そう言ってメイドが取り出したのは、イカツイかつらと、サングラス。
「いやいや、おかしいでしょ!!」
何ちゃっかり装着させちゃってるんですか!
「ふっ…、ふふっ…。あの…ふふ…ちょっとふざけちゃいました☆って感じです…ふ、ふふ…」
「あははっ!この服装でもお可愛らしい凍歌様…最高です…ふふっ」
僕で遊ばないでくださいよもー!
「おふざけはここらへんにして、こっちです。」
そう言って取り出したのは、普通のかつらと分厚い眼鏡。
「度は…?」
「入っていませんよ。」
この変装は、定番ですね。
「凍歌様。学園では絶対に女性のふりをしてくださいね。」
「何故ですか?」
メイドさんがみんな、苦い顔になった。その中、メイド長さんが進み出て言った。
「今まで内緒にしてたんですが…本当は男か女、どちらかの性別を持ち合わせているものなのですよ。普通。」
それはすごい衝撃的な言葉だった。
「はっ!だからこんな広い屋敷の中に無性別の人が居なかったんですか。」
みんなこくこくと頷く。
ずっと不思議だった。どうして初めて家に来た人に自己紹介すると驚かれるのか。みんな揃ってトイレはどうするのかと聞いてくるから、そんなのしませんと言っていました…そりゃ驚くわけですよ。
それに、どうして僕だけ外に出てはいけないのか。やっと知ることができた。
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