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到着
「そろそろ到着いたしますよ。」
零がそう言うので、カーテンを開けて窓の外を覗いてみた。
「うわぁ…!」
そこには大きなお城のようなものがそびえ立っていた。こんな大きなお城も、屋敷の外も、本でしか見たこと無い!
「この学園はですね、普段は魔法で隠されているんです。でも、特別な通行書を持っていると結界内へ入ることが出来るんです。」
特別な通行書かぁ…魔法ってすごいんですね。
「いいですか凍歌様。結界内には封じ込められた魔物がうじゃうじゃ居ます。絶対に一人で行動してはいけませんよ。」
封じ込められた、魔物?
普通の人間に被害が及ばないようにするためか。でも、そんな広範囲の魔物を集めたらかなりの量になるんじゃ…
そう思うと、一気に血の気がサーッと引いた。
「あ、だ、大丈夫ですよ。一人で行動しなければ襲いかかってきませんし、可愛い魔物も居ますからね。」
か、可愛い魔物!もふもふしてるのかな?襲いかかってきても倒したくないなぁ。
「あ、ついたみたいですよ。」
…何だか来るのに慣れてる感じですが。
「ここ、来たことあるんですか?」
「はい。奥様方がちょうど凍歌様くらいの年齢のときに。」
え…?
「れ、零って人間じゃなかったのですか?」
「はい、違いますよ。旦那さまとおんなじくらいの年です。」
え、じゃあ、三百超えてるの?
「屋敷に使えているもの殆どが人間じゃありませんから。」
もう驚きを通り越して無になっちゃいますよ。
まさかそんな間近に居たとは…
「そんなことより、ほら降りる準備をしてください。」
あ、そうだった。窓の外を見ると護衛の人達が待ってくれている。
「準備できましたか?では、出ましょう。」
僕は車の外に足を踏み出した――
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