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いやいやいやいや。
ちょっと待ってってば!
「な、なんで⁉︎ ただの友達に、普通こんなことする⁉︎」
「えっ」
椎名くんはキョトンと目を丸くした。
「俺、とっくに藤川の彼氏だと思ってたんだけど……違うの?」
「ええっ⁉︎」
私はびっくりした瞬間に後ろ足だけで立っちゃったネコみたいに固まった。
「い、いつから……?」
「いつだっけ。二ヶ月くらい前に、美容院で告白したじゃん。俺と付き合ってくれって」
そういえば。
今から約二ヶ月前、新規オープンセールをしていた美容院で椎名くんとバッタリ一緒になったことがあった。その時、カップルだったら5%オフですよって美容師さんに言われて──椎名くんは迷わずさっきの言葉を口にしたんだった。
店中に響く声で告白されて、あの時は恥ずかしかったな。
って、あれ、本気だったの⁉︎
「あの時、お前もOKしてくれたじゃん」
「だって、あれは5%オフのためでしょ?」
「バーカ。俺がそんなケチな男に見えるか?」
……ケチな男だなって思ってました。今の今まで。
なんかすまん、椎名くん!
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