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距離が近づいて、隣同士ピッタリと寄り添った。
絡まる指が恋人繋ぎに変わる。
それでもきっと、これからも椎名くんは変わらない。
相変わらず私のそばで、変なことを言い続けるんだろう。
本気とも嘘とも分からないような、笑える話をしてくれるんだろう。
「あのさあ、椎名くん。ひとつお願いがあるんだけど」
「何? 今オオメンダコ見るのに忙しいんだけど」
そんなもん、忙しいわけあるか。
こっちを見るのが恥ずかしいだけだろ。
まあ、その方が私にとっても都合がいい。
こういうのは目を見ない方が言い出しやすい。
「私のこと、ちゃんと好きだって言って欲しいんだけど。今んとこ、オオメンダコへの告白しか聞いてないから」
「オオメンダコの前で俺に告白させるとか、嫉妬深えわ藤川。こわー」
「お前のタコ愛の方が怖いわ。っていうか、タコと私を同列にすな」
「……お前のそのキレッキレのツッコミが好きだよ」
「何それ。嬉しくないわー」
椎名くんがいつものようにふにゃっと笑う。
ほらね。
やっぱり椎名くんは、変わらない。
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