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第七章 終局のドリンクバー
夜7時のファミレスで山盛りポテトを挟んで、私達は向かい合います。松野くん、緒方さん、私の向かいに居るのは、今回の発端とされる織田くんと菅原さんです。
織田くんは医学部生らしい清潔感のある服装に、大柄で四角めの顔が特徴の方でした。一方、菅原さんは線の細い女性で面長の冷静なメガネの印象です。
それぞれの簡単な自己紹介の後に、この中で一番顔の広い松野くんが口火を切ります。
「はは、久しぶり」
「松野!! 悪かった!!!!」
織田くんがテーブルに頭をぶつけるように頭を下げました。鍛えているのかお腹の底から声を出していてちょっとうるさいくらいです。
「蔑ろにされてるみたいで腹が立ったんだ!! でも、こないだになって俺もカッとなってたって反省して、やり直したくて!!」
いきなりの剣幕に松野くんも動揺を隠せないようです。
「やり直したいと思った頃には松野も環も新しい友達をつくってた!! それが、許せなくて!!」
「だから、私達を脅すことにしたんですね」
「松野も環も一緒にいる奴がいなくなったら俺たちのところに戻ってきてくれるかなって、その、本当すみません!! これ、盗撮してしまった画像が入ったSDカードです。煮るなり焼くなりしてください!!」
私は織田くんからSDカードを受け取りました。バックアップなども存在しないそうなので、私に関する脅迫はあっけないほどすぐに解消したと言っても良いでしょう。私が謝罪を受け入れると、緒方さんがすかさずもう1人の方へと視線を向けます。
「そっちの、菅原は?」
「私は当初の目的が達されるまでデータを消す気はない。ーー松野、戻ってきてくれる?」
松野くんは首を振ります。
「逆に俺は交換条件にされるのが嫌。菅原、そういうのやめて俺と直接話そ? 俺も自分勝手だったことは認める。悪かった。でも、緒方も冴島さんも関係ないんだ。巻き込まないで欲しい」
「違う。この2人が居なかったら、松野も環も別れた後に私たちのところに戻ってきてた」
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