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「しっかし、好きな人が他の人と結ばれるところを見せつけられるーーか。確かにそんなの見せつけられたら心を病んじまうよな」
若きウェルテルの悩みは1774年の神聖ローマ帝国ーー所謂現在のドイツで発売された恋愛小説だ。青年ウェルテルが美しいシャルロッテという女性に恋をするが、その恋が叶わず自殺してしまう。あまりの衝撃のラストに当時の社会では自殺者が急増したのだとか。このことを受けてウェルテルを真似て自殺することをウェルテル効果というらしい。
蘊蓄はさておき、僕の中で実際に恋愛というものを経験する前と後ではこの作品に対する認識は一変したと感じている。
「僕は最近耐えられないと思ってる」
「えっ」
恋愛に興味のなかった僕は、今では好きな人が他の人と仲良くしているだけでも、ちょっとした嫉妬心を抱くぐらいには心を歪められてしまっていた。こんな仄暗い感情を理解してしまうことになるなんて、4月には考えられなかったことだ。
「彼女は居なくても、好きな人は居るから」
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