第五章 波乱のカルピス

9/13
前へ
/69ページ
次へ
「緒方さん、これは2人の関係を正常化するために大切なことなんです! 知っているのに教えてくれないのは卑怯です」 「......僕達にはどうしようもないことだから」  里依さんは正義を暴走させることがあると思う。真実を知ることは、必ずしも人のためにはならない。松野も環さんもきっと、知られたくはないはずだ。 「どんな答えでも私、環ちゃんにそれとなく伝えますし、うまくやってみせますよ」 「里依さんには無理」  既に失敗している里依さんには期待できない。それに、僕がこの話題をしたくない。 (里依さんに経験があるとは思えないし、もしあったとしたらそれはそれで嫌だ)  里依さんは僕に基本的になんでも話してくるけれど、少しはこういった可能性についても考慮して欲しい。それなのに、里依さんはやたらと食い下がってくる。 「ば、馬鹿にしないでください。私、社会人の先輩なんですから、全部受け止められるだけの器量があります! それとも私、そんなに心が狭く見えますか?」  僕は観念した。  そこまで言うなら言わざるを得ない。 「......身体の関係」
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加