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「2人の障害は身体の関係なんですね! 身体の関係ってことはつまり......。えっ......」
固まったまま里依さんが動かない。
「......。」
「......。」
気まずい。絶対に言うべきじゃなかった。
時計の音だけが響いていく。けれど、松野の名誉のためにこれだけは言っておかねばならない。
「この件は松野は悪くない。好きになったら近付きたい、触れたいって思うのは、本能だから」
「た、環ちゃんだって悪くないと思います。詳しくは知らないですけど、好きになったら身体よりも心で繋がりたいって思う筈です」
「もう大学生だから綺麗事だけの関係ではいられないと思う」
「緒方さんもそうなんですか?」
「......。」
(なんてことを聞いてくるんだ)
僕たちは再びいたたまれない空気に包まれる。恋人の居ない僕たちが話すには不毛過ぎる。
「あ、明日対策を考えてお話ししますから!」
「いや無理はよくない。この話題は聞かなかったことにして」
恋愛についてあまりにも経験値が低い僕たちがこの件に触れるなんて、すでに火傷しそうだ。
「......僕達にあの2人のよりを戻させるとかは無理。僕が知ってるのはこれだけ」
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