第六章 粛清のアップルパイ

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 私達が残ったパイを挟みながらフォークでお行儀の悪い喧嘩をしていたところ、立ち直った緒方さんがフォローをしてくれました。 「別に、里依さんは素敵な人だと思う」 「そうでしょう! そうでしょう! ほら、蒼馬君もは少しは緒方さんを見習ってください」  しかし、蒼馬君はボソボソと何かを呟いています。 「......え? マジで満更でもない感じなの? それは完全に目が腐って、いや、目は腐ってないかもしれないけど、なんかもっと広い世界を見て欲しい遠くに幸せを探しに行けよ」 「何ボソボソ早口で言ってるんです?」 「お前は本当地獄に堕ちた方がいいよ」 「はいーーーー?」  その後、一悶着ありつつ綺麗にアップルパイを完食した後、蒼馬君は私たちを追い出しました。 「と、とにかく。デジタルタトゥーは消えない。薄くはなるけど。この人、環だっけ? これからはくれぐれも迂闊な行動はしないように伝えろよ」
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