第六章 粛清のアップルパイ

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*  蒼馬くんの家からの帰り、緒方さんは私に問いました。 「明日、松野に頼んで脅してきた人たちと話すけど、里依さん本当に来るの?」 「はい! 私は環ちゃんに嫌われてしまいましたけど、もし、環ちゃんが次に誰かに頼りたくなったときにそばに居てあげられる人を作れたら良いなって」 「その人たちが信用できるのかはまだ、完全にはわからないし、里依さんが危険をおかす必要はない」  なんといっても、初手で脅しをかけてくるような人たちなのですから。緒方さんの懸念もわかります。けれど、彼らはお友達グループだったのです。 「......お節介なのは、わかってます。最近の人間関係のトレンドって、すぐに手放すことなんですよね。喧嘩したら、いいえ、喧嘩さえもせずに意見の対立があればそっと関係を消してしまう。傷のない人間関係を作ろうとしますよね」 「僕も傷つきたくないからその気持ちはわかる」 「えぇ、でも。たまには踏み込んでみても良いかなって思えるんです。私は環ちゃんを理解したい。そして、その周りの方も」 「僕は里依さんのそういうところがーー」 「? なんです?」 「いや、なんでもない」
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