1人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夜。俺とグゥは、はじめて同じ部屋で二人同時に眠りに落ちた。
しかし……
グゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ。グゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ。
戦車の轟のような不快音が、俺を叩き起こした。
「何の音!?」
ふと床を見ると、グゥが大きないびきをかいてすやすやと眠っている。
「まさか……」
俺は思わず両手で口を押さえ、ぶふふっと吹き出してしまった。完璧で最高と思っていた相棒は、いびきという欠陥を持っていたのか。
(そうだ。明日、レオに相談して修理して貰おう)
翌日。俺は早速レオに修理を頼んだ。
するとレオは、ベッドの上で自分のパソコンを起動し、黒いコードを差し込んだ。「おいで」とグゥを近くに呼び、グゥの白シャツをまくる。脇腹にあるコンセントの穴のような窪みを見つけると、パソコンから繋がる黒いコードを差し込んだ。
「おおお」
俺は思わずうなった。パソコンとグゥが黒いコードで接続されている姿を見ると、グゥがアンドロイドであることを実感する。
レオは、黒い画面が表示されているパソコンに、何やら英語と数字の入り混じった白字の文字列をかたかたと打ち込んでいる。
さすが、ロボット工学者。
「これで大丈夫。もう、グゥは眠らないよ」
レオが声を発した。
「眠らない?」
「二四時間起きているプログラムに書き換えたのさ」
「えっと……」
「いびきを止めるよりもっと確実な方法だよ。眠らないから、いびきをかこうにもかけないって訳」
「あーなるほどね」
難しい話は分からないけれど、いびきを止められたのなら何でも良い。
「レオ、助かったわ。さんきゅー」
こうして俺は、レオによってアップデートされたグゥと二日目の夜を迎えた。
最初のコメントを投稿しよう!