エピローグ

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 他の魔術師たちと近衛兵が、気絶したままのルーカスを運ぶの見ながら、アルバート王子が再度ぴよドラの件に触れる。 「生はだめだが、黒魔術で創り出された幻魔のような生き物は食べても影響がないってことか」  あっ、それはとマリルが辺りをキョロキョロ見回し、頬を染めながらアルバートの耳に囁いた。 「なに~っ? 黒魔術がフンになって出るから、燃やせば大丈夫だって?」 「し~っ。恥ずかしいから大声を出さないで!」  バシバシとマリルに背中を叩かれ、痛い、そこは輪の後がついているから痛いんだと声を上げながら逃げ回るアルバート王子と、羽で顔を隠して俯くぴよドラを見て、観客たちの笑いがさざ波のように広がっていった。  緊張が一気に解けて安心した観客たちの笑い声が大きくなる中で、そっと逃げ出そうとしたガルレア王妃とハインツ王子は、王の目配せを受けた近衛隊長によって、速やかに捉えられ、貴賓牢に投獄されたのだった。  その後、サンサは国のお抱え大魔導師となり、マリルはサンサ付の大魔導師見習いに昇格。エリザ王女からは引き続きコンパニオンを務めて欲しいと要望があったため、国王から特別に子爵の称号を賜ることになる。魔術師管理委員会のメンバーを円形競技場に招き入れる作戦に、協力したミランダ・メイフェア伯爵令嬢にも褒美があったのは言うまでもない。  殉職した二人の魔術師は、国を悪い魔術師から守った英雄として葬られ、葬儀では国王の代表として葬儀に出席したアルバート王子から哀悼の言葉と弔慰金が送られることになった。
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