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それから10ヶ月後。
恵美子は橘家で玉のような男の子を産んだ。
その産声が橘一家の組員たちの耳に届くと、一斉に歓喜の声が上がった。
「これはこれは!!立派な跡継ぎの誕生だ!!」
と、貞治は泣いて喜んだ!!
「わぁ!!可愛い!!真里亞が、お姉ちゃんだよ?」
と、真里亞は笑顔で赤子の頬を触って喜んだ。
「真里亞、貞治様……この子の名前は、どうします?」
と、恵美子は産後間もない体を起こし嬉しそうに、そう訊いた。
「う〜ん、跡継ぎだからな……しっかりした立派な名前をつけないとな!!」
と貞治は、眉に皺を寄せて腕を組んで考え込んだ。
そんな貞治の真似をして、真里亞も眉に皺を寄せて腕を組んで考えだした。
_____幸せになるんだ!!____
恵美子は愛おしい夫と娘と……そして眠りこけている誕生したばかりの息子を見て、そう誓った。
そこにはもう『不良品シングルマザー』の恵美子ではなく、立派な橘一家の姐さんとしての凛とした顔をした恵美子が、背筋を伸ばし佇んでいた。
【完】
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