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「ここまで派手に狙ってくるって事は、たぶん、うちの上部組織の侠仁連合の組員は足がつかないように1人もいないな。全部外注のヒットマンで固めてるはずだ」
冴木了司を、隠れ場所として見つけた救急病院の奥の使われていない部屋のクローゼットの中に案内している途中、了司はおもむろに口を開いて俺にそう呟いた。
「それじゃあ、まるでテロ集団だな。そこにあんたの子分が乗り込んできて応戦すると、あんたの組の組員が捕まって、こっちばかりが損失を被るって筋書きか」
「そんなとこだ。ヤクザの抗争だが、警察はすでに呼んだ。なにしろ奴らは一般人を標的にしていると言われても仕方ないやり方だからな」
「だが奴らはその前にあんたを始末しようという腹だぜ。ここに隠れたまま外には出るなよ。尤も、この部屋のドアは施錠して鍵は俺が持ってるから簡単には中に入れないと思うが、奴らは焦ってるようだから何をしでかすかわからん。絶対にクローゼットから外に出るなよ」
「わかったよ」
俺はさっそく了司をクローゼットの中に入れてから部屋を出て、ドアに鍵をかけて部屋を離れた。
懐には元々所持しているミッドナイトスペシャルだけでなく、了司から借りたベレッタM92がある。
さすがに小型拳銃1丁では自分と綾波優斗と帯広絵梨奈を守ることは難しいので、もうちょっと強力な銃を了司から借りた。
ヤクザと言えばトカレフというイメージが世間では強いが、あれはマスコミがそういうイメージを定着させただけで、実際にはアサルトライフルからベレッタやS&Wまで彼らは密輸している。
俺は綾波優斗の病室に行き、外から中には入れないように入り口を固め、絵梨奈と共にこの病室に隠れた。
奴らのターゲットは冴木了司だが、下手をすると優斗を人質に取る手に出るかもしれない。
その時のために、俺はベレッタを携帯し、優斗と絵梨奈を守らなければならない。
そろそろヒットマンの連中が、この病院の中に乗り込んでくる頃だ。
いよいよここからが正念場だ。
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