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やがて手術は終わった。
手術室から執刀医の先生が無表情で出てきた。
すぐに冴木了司と帯広絵梨奈が執刀医に駆け寄った。
「どうですか、優斗は?!」
了司は緊張した面持ちで医師にそう聞いた。
「出血が多かったのでね、ひょっとしたら血管が損傷しているのではないかと思っていたらやはりそうでした。それが胸の中にある腕頭動脈の損傷だとほとんど手術が不可能か、相当特殊な手術をしないと難しいので、刺された箇所から考慮して少し心配してたんですが、幸い心臓からは遠い場所の血管の損傷だけだったので手術は安易でした。もう大丈夫ですよ」
そう言うと執刀医は、極めて福々しい笑顔を浮かべた。
「そうですか!どうもありがとうございます!」
了司がそう言って執刀医に最敬礼すると、すぐに横にいた絵梨奈も深々と頭を下げて、
「どうもありがとうございました!」
と丁重に医師に礼を言った。
俺も続いて頭を下げながら、
「どうもありがとうございました」と静かに頭を下げた。
優斗、
大事に至らなくてよかった。
何より、
生きていてくれてよかった。
廃墟ホテルから救急車で運ばれる時には、それまでちょっと喋りすぎたのもあってか、優斗は息も絶え絶えの様子だったので、全員でかなり心配していたのだが、なんとかなった。
あの腕の良さそうな医師にも勿論感謝だが、優斗の運の強さのようなものにも礼を言いたかった。
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