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綾波優斗は正直に、帯広絵梨奈に全てを告白した。
自らにとって、冴木了司は初恋の相手であり、今もずっと心から愛していること。
世間にカミングアウト出来なくても、ヤクザ抗争がこれからまた再開し激しくなっても、了司に寄り添い、一緒に暮らしていくこと。
自分は性的に異常だと思って自殺しかけたこともあるし、本心に背いて、世間に合わせて生きていこうとしたこともあったが、もうこれからは真っ直ぐ自分の本心で生きていくこと。
それが如何なる荊の道であろうとも…。
絵梨奈は、優斗の気持ちを心から理解した様子で、最後に自分を強く抱きしめた後、静かに去っていった優斗を、黙って優しく見送った。
俺は二人に背を向けてマティーニを飲んでいたが、優斗が去った後、絵梨奈を見つめた。
絵梨奈の癒しがたい喪失感が、酷く心に突き刺さってくる…。
俺には、そんな彼女に、マティーニの入ったカクテルグラスを勧めることぐらいしか出来なかった。
絵梨奈が、どんなに優斗のことを愛していたか…
グラスを渡した時、それが痛いほどわかった…。
俺には何も出来なかった。
かって愛した女にそっくりの、この愛しき女に…。
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