画面の向こうの君

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『俺、中3って言ったじゃん?』 『うん』  たしか、私と同い年だったはずだ。 『でさ、millも中3だったっけ?』 『うん、そうだよ?』 『じゃあ、どこ中か教えてくんない?』  え…  どこ中って…  これって教えて良いの?  今までNICOのこと信じ切ってたけど、もしかしたらキモいおっさんだったりして…  私は彼が中3であることの確証がない中、どうしたらいいのかわからないでいた。  そんな私を安心させるように、返信が来た。 『俺が中3ってことは、俺が身をもって保証するから!(;´Д`)´д`);´Д`)´д`)ウンウン』  メールに綴られた信じ切れない言葉に、それでも覚悟を決めた。 『私、宮前中だよ』  静かに送信ボタンを押した。 『えっ!?マジ!?』 『俺宮前だよ!』 「…えっ!!」  これ、マジ!?  こんなことって… 『ホントに!?嘘じゃない?』 『うん!嘘じゃない!!』  私は、奇跡ってこういうものなんだと、初めて知った気がした。  そうすると、もしかして、三河先輩…!?  いや、そうじゃなくて、朝陽先輩か…!?!?  でも、きっと、そのどちらじゃなくても嬉しい。  きっと、その人と友達になる。  …もしかしたら…付き合っちゃうかも。 「ヤッバ…」 『ねえ、じゃあ、俺が何組か言ってもいい?』  私は楽しみのあまり布団の上で転げ回りながら、『OK』のスタンプを送った。 『俺は、B!』  え…  マジで…  私は、スマホを落としそうになった。  もう一度、その文字を見てみる。  …やっぱりBだ。 「マジかあぁ」  Bにそんなオレなヤツいたっけ…?  んー、わからん。  にやけ顔になりながら、文字を打っていく。 『うちもっ!』 『マ、マジっ!?』 『うん!』 『じゃあ、B組の担任当ててみて!』  いつものろのろのおじいちゃん先生。 『吉松先生!』 『正解~!やっぱmill、B組なんだな』  でも、ここまで来ると…  名前、知りたいよね。 『あの…』 『?』 『名前は、さすがにダメかな?』 『んー』 『まあ、いい、かな?』 『じゃあ、お願いしますっ!』 『じゃあ、苗字からね。』 『苗字は、「高野」』 「え?」  え?え?え?  どういうこと?  意味わかんないんだけど?  3年B組の高野って…あいつしかいないじゃん…?  いやでも、もしかしたらもう一人高野が…  いないと思うけどさ。  でも、違うかもしれないから。  名前を聞くしかない。 『名前は?』 『デレデレデレデレデーン!』 『「祐樹」!』  ああ…  もう私に希望はない。  なんであいつなんだ?  私が一番嫌いなやつじゃん。  意味わかんない。  どうしてこうなの?  __あの優しい言葉も。  __イケメンを思わせる言葉遣いも。  __話すこと全てが楽しかったあの日々も。  あれは全部、嘘だったの?  ホントだなんて、思えないくらいまぶしかった日々が麻美の脳裏によみがえってくる。  その記憶が溢れ出せば溢れだすほどにに落ちてくる、その涙は止まらなかった。  自分でも、なぜ泣いているのかわからなくなってきた。  でも、その返信に涙はかき消された。 『millは?何ていうの?』  それを私に聞いちゃいけないんだよ。  真実を知ったら、彼はどんな顔をするのだろう。  あの日々が私の言葉のせいでなくなってしまうのなら、いっそこんなこと…  でも…  
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