やっぱりお前なんか、大っキライ!!

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ボソリと俺だけに聞こえるよう、耳もとで囁かれた犯行予告。そして唯くんを人質に取った卑劣な脅迫。 くそおおおッ。一瞬にして天国から地獄へと落とされた俺の、名状しがたきこの感情……おのれ足利昂大、未来永劫許すまじ。 「死ねよこのクソ野郎がッ」 「ははっ、素晴らしく過激な愛情表現だな、綾佑?」 「愛なんか一個も無ぇわ! 脳味噌腐ってんのかよ」 ひそひそと小声で喧嘩(?)をする俺と昂大。 その様子を見た唯くんが「あ、早速二人でイチャイチャしてる。えへへ、何だかこっちまで照れてきちゃうなぁ」と思っていたり。 「ズルい、昂大。独り占め……」と書記が恨めしそうに睨んでいたり。 副会長が呆れて苦笑いを浮かべたり。 そんな皆には気付かず、怒りと悔しさで頭が一杯になった俺は 「綾佑は快楽に弱すぎるからな。まずはしっかり肉体(からだ)から堕として、最も大事なお前の心は……後からゆっくりじっくり手に入れよう。ああ、愉(たの)しみだ」 という不吉な昂大の呟きにも、残念ながら気付けませんでしたぁ。 ちなみにこの時気付かなかったことを近い将来俺めっちゃくちゃ後悔するからね? 頼むから気付いてよこの時の俺ぇ、そんで死ぬ気で逃げてえぇッ。 身体から籠絡された後、やがて大嫌いだった筈の相手に、はにかんで頬を染める俺が「昂大、大好きぃ」なんて抱きつく未来とか全然待たなくても良いんだからね!? (多分もう遅いかも知んないけどさぁ……) 【END】2023/7/12
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