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架ける.2
「ああ、緊張する……お客さん楽しんでくれるかなぁ?」
「意外といっぱい入ってるな」
「春日さんもサルも上手くやれるか?」
「大丈夫だってば! あの二人なら!」
学園祭二日目昼過ぎ、体育館の舞台袖にはクラスメートが溜まっていた。
今からクイズ大会が始まる。司会の二人と問題文を提示する黒子四人、会場の整理をする十人ぐらいの男子、それ以外の役割のないクラスメートは舞台のカーテンの影に集まっていて、舞台袖は渋滞中だ。
「秋宮は?」
「秋宮さん? 知らないけど」
俺はその顔の中に、一翔がいないのが気になった。自分の成果ぐらい確認したらいいのに。
まあいいか。俺がバッチリ見届けて、報告してやろう。
そして、クイズ大会は予想以上に盛り上がった。
春日の司会は見事だったし、サルは場を沸かせるのに慣れていた。
問題文も好評だったようだ。春日が問題文を読み上げるとそのたびに、笑いが起こったり、驚愕の声が上がったりする。
俺はほっとしていた。ちゃんと役目は果たせたし、それにこれなら、一翔の評価だって良くなるんじゃないか? せめて春日が一翔を見直してイジメなくなればいい。
一翔と春日の間に、小さな橋でも架ける事ができれば……。
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