254人が本棚に入れています
本棚に追加
「それだけで入れてくれるかしら?」
「オルセン様なら、書庫に入る許可を取るのは簡単ですよ」
「そうなんだ。さっそく明日頼んでみるわ!」
作戦失敗でどうなるかと思ったけど、打開策があってよかった!
「とりあえず、喉が渇いたから休憩しましょう」
キルテは不満そうだったけど、そんな事は気にせず、強引に休憩室に案内させた。
私が休憩室に入ると、皆が静まり返るというお決まりの展開。
「フェルト様、カップは私の物ですが、よろしいですか?」
「ええ、問題ないわ」
キルテが入れてくれたお茶、何だかカビ臭い気がする。けど、こんなに人がいる所で、毒を盛る事はないよね。異世界だし、こんな香りのお茶があってもおかしくはないのかも。
お茶を飲もうとしたら、後ろから伸びてきた手にカップを奪われた。
「ナノ……、フェルト様が食中毒を起こしたらどうするのよ」
振り返ると、挿絵で見た事のある、女騎士がいる。
「ペコリン!!」
本物、カッコいい!!
「ペコリン……、あだ名をつけて頂けたのでしょうか?」
「……っごめんなさい。初対面で失礼な事を」
「いいえ、光栄です」
ペコリン、シュナの事が嫌いなのに、顔に出さないなんて凄い。
「知っているとは思うけど、私はシュナ・フェルトよ。これから暫く私の護衛に付いてくれるのよね。ありがとう」
私を助けようと手を回してくれたオルセン様の顔に泥を塗る事は出来ないし、ここでは静かにしなきゃね。
「ところで、そのお茶だけど、飲んだら食あたりを起こすの?」
「キルテはダストボックスなので」
「ダストボックス……」
ゴミ箱って事?
「何を食べても腹をくださないので、古くなった食材はキルテが食べるんです。このお茶もその1つで……」
ペコリンが途中で喋るのを止めてしまった。よく見ると、キルテの顔が……。
「もしかして、知らなかったの?」
「はい」
仲間からゴミ箱扱いされてたなんて、さすがに可哀想すぎる!!
「気を落とさないで、きっといい事があるわよ!ね、ペコリン!」
「はい。腐った物を食べても死なない体、羨ましいぞ、キルテ!!」
全然励ましになってない!
毒耐性があるから、ある程度は大丈夫なんだとは思うけど……、腐った物だと気付かず食べてたなんて、味覚はどうなってるんだろ……。
最初のコメントを投稿しよう!