255人が本棚に入れています
本棚に追加
「キルテ様が教えてくれたんです。」
「そうなんだ。余計なお世話かなとも思ったんだけど、シュナさんの事が気になって……」
オルセン様は優しいよね。アレックスにオルセン様の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
「……オルセン兄様は、イジワル女がお好きなのですか?」
「友達だからね。トリトンも、お友達の事は好きだろう?」
「うん。」
「友達が危険だったら、助けてあげたいって思わないか?」
「思う。」
トリトン様がコクコクと頷いている。
2人のやりとりが可愛い!!
やっぱり保育士になりたかったかな。死んでしまったから、もう何にもなれないんだけどね。
「シュナ!!」
……この声はアレックスだよね。まぁ、ここは王城だから、いて当たり前なんだけど。せっかく皆ほのぼのしていたのに、一気に空気が悪くなったわ。オルセン様だけじゃなく、使用人も萎縮してるし……。
「どうなさいましたか?アレックス様。」
「何故ここにいる?」
「申し訳ございませんが、それは陛下にお伺いください。」
今日の出来事は、箝口令が敷かれている。トリトン様が襲われた事じゃなく、魔法が使えるという事が広まれば、話がややこしくなるから当然だよね。
「オルセン、キルテをシュナの護衛に推薦したらしいな。」
「……状況を鑑みるに、それが1番かと」
「王太子である俺は常に命を狙われる立場だ。なのに、何故この女にキルテをつけた?護衛は他にもいるだろう!」
「……ですが」
「シュナのご機嫌をとって、次期王の座を狙ってるんじゃないだろうな。」
「そんな事はありません。」
どうしてこんな言い方しか出来ないんだろう。トリトン様とオルセン様の仲良しな会話とは大違い。これが勇者だなんて、もう駄目だわ。
「アレックス様は、オルセン様が私と仲良くしていると、王位が危うくなるとお考えなのですか?」
「何が言いたい……」
「私へのアレックス様の態度が真摯なものであれば、王位は揺るがないのではないかと、そう思っただけですわ。」
「シュナ自身が言っていただろう。王位につく相手と仲良くすると。」
アレックスの相手をしない理由の例えとして上げただけなのに、結構根に持ってるんだ。
「そうであったとしても、オルセン様が私のご機嫌を取っているという発言は撤回してください。私が選ぶ男性が王になる訳ではありませんもの。」
「オルセンと親しくしているのは、次代の王がオルセンだからなのか?」
「あえて、質問を質問でお返ししますが、アレックス様はミネルバと仲良くしていますわよね。それは、次代の王妃が私ではなくミネルバだからなのですか?」
「そうではない」
なら、どうしてオルセン様を責めるのよ。同じ立場じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!