トリトン王子

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「キルテ様が教えてくれたんです。」 「そうなんだ。余計なお世話かなとも思ったんだけど、シュナさんの事が気になって……」 オルセン様は優しいよね。アレックスにオルセン様の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。 「……オルセン兄様は、イジワル女がお好きなのですか?」 「友達だからね。トリトンも、お友達の事は好きだろう?」 「うん。」 「友達が危険だったら、助けてあげたいって思わないか?」 「思う。」 トリトン様がコクコクと頷いている。 2人のやりとりが可愛い!! やっぱり保育士になりたかったかな。死んでしまったから、もう何にもなれないんだけどね。 「シュナ!!」 ……この声はアレックスだよね。まぁ、ここは王城だから、いて当たり前なんだけど。せっかく皆ほのぼのしていたのに、一気に空気が悪くなったわ。オルセン様だけじゃなく、使用人も萎縮してるし……。 「どうなさいましたか?アレックス様。」 「何故ここにいる?」 「申し訳ございませんが、それは陛下にお伺いください。」 今日の出来事は、箝口令が敷かれている。トリトン様が襲われた事じゃなく、魔法が使えるという事が広まれば、話がややこしくなるから当然だよね。 「オルセン、キルテをシュナの護衛に推薦したらしいな。」 「……状況を鑑みるに、それが1番かと」 「王太子である俺は常に命を狙われる立場だ。なのに、何故この女にキルテをつけた?護衛は他にもいるだろう!」 「……ですが」 「シュナのご機嫌をとって、次期王の座を狙ってるんじゃないだろうな。」 「そんな事はありません。」 どうしてこんな言い方しか出来ないんだろう。トリトン様とオルセン様の仲良しな会話とは大違い。これが勇者だなんて、もう駄目だわ。 「アレックス様は、オルセン様が(わたくし)と仲良くしていると、王位が危うくなるとお考えなのですか?」 「何が言いたい……」 「(わたくし)へのアレックス様の態度が真摯なものであれば、王位は揺るがないのではないかと、そう思っただけですわ。」 「シュナ自身が言っていただろう。王位につく相手と仲良くすると。」 アレックスの相手をしない理由の例えとして上げただけなのに、結構根に持ってるんだ。 「そうであったとしても、オルセン様が(わたくし)のご機嫌を取っているという発言は撤回してください。(わたくし)が選ぶ男性が王になる訳ではありませんもの。」 「オルセンと親しくしているのは、次代の王がオルセンだからなのか?」 「あえて、質問を質問でお返ししますが、アレックス様はミネルバと仲良くしていますわよね。それは、次代の王妃が(わたくし)ではなくミネルバだからなのですか?」 「そうではない」 なら、どうしてオルセン様を責めるのよ。同じ立場じゃない。
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