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前世では、毎日毎日ご飯を作って食べさせるのは私の仕事だった。『美味しい』なんて一言も言ってもらえなかった。
『味噌汁が熱い』と言って顔にかけられたから、次の日は少しぬるめにして出したら『ぬるい味噌汁なんて飲めるかっ』って頭から味噌汁を浴びせられた。
シュナも理不尽な事を言ってたんだろうけど、それは料理の味じゃなくアレックスに冷たくされた事への八つ当たり、ストレス発散なだけ。
私にはそのストレスがないから、料理に毒でも入ってない限り怒ることも首にすることもないわ。
「明日のおやつも楽しみ!」
モグモグ食べながら喋っていると、ネロが私をじっと見ている。
「どうしたの?」
「お嬢様、何だか言葉遣いが……」
しまった!
美味しいお菓子にテンションが上がりすぎて、お嬢様っぽい喋り方にするのを忘れていた。
「ネロの前では気を緩めてもいいかな…って思って。」
四六時中一緒にいるのに、作り物の喋り方や性格で対応するのは疲れるから避けたい。
「駄目…かな?」
「いえ、嬉しいです。」
恐る恐る聞くと、ネロは笑って答えてくれた。
これで、ネロの前ではシュナではなく泰子の性格でいられるから一安心。
心配なのは学校でのシュナなんだよね。
学校内にネロは付いてこれない。私1人で立ち回らないといけない。
シュナって友達いるのかな?
取り巻きはいても、それって友達じゃないよね。
主役が聖女だから、シュナの情報をそこまでしってるわけじゃないし、困った。
問題はそれだけじゃない。私はこの国の勉強についていける気がしない。
喋ってる言葉は解るから、言語については問題ないし数学も問題ないはず。
1+1=2はどこの世界でも変わらないはずだしね。
けど、歴史はさっぱり解らない。
どうせ断罪なんだし、勉強しなくていいよね。頭に詰め込んだ知識を披露する事なく死ぬのだし、無駄な努力は止めよう!
頑張ればなんとかなるってものじゃないのよ!人生諦めも肝心。
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