適材適所

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適材適所

朝7時に邸を出て7時30分に学校に到着した。 授業が始まるまで後1時間もあるけど、何でこんなに早く来る必要があったんだろ。 まぁ、今まで4時30分起床の私には、6時に起きて朝食が用意されているなんて天国のようだけど。 朝食は不味くはなかったけど、ドレッシングにもう少し改良の余地あり…。 そんな事を考えて歩いていると、後ろから声をかけられた。 「フェルト様、ハンカチを落としましたよ。」 そう言って、にっこり笑う顔には見覚えがある。 色白でつやつやの黒髪に茶色の瞳。どちらかというと日本人っぽい顔つき。 私が顔を知っているキャラは、表紙と挿し絵に出てくるキャラしかいない。 この女はその1人。 聖女ミネルバ…。 シュナの恋敵。 「…ありがとうございます。」 ……? 何故だか解らないけど、この女の顔を見ていると鳥肌と動悸が…。 これはシュナの感覚? とりあえず、さっさと離れよう。 「私はこれで失礼します。」 私がハンカチを受け取ろうとすると、『キャ!』っとミネルバがわざとらしくその場に倒れた。 「あの、大丈夫?」 「酷い…、私、ハンカチを拾って渡しただけなのに…」 もしかして、私のせいだってアピールしてるのかな…、自分で転んだくせに。 受け身までとってたのに、涙目になるほど痛いわけないでしょ。 今だって、心配して私が手を差し出しても握ろうともしないしさ…。 「シュナ、何をしてるんだ?」 「え?」 アレックスが眉をつり上げて私とミネルバの所へやって来た。 「私は何もしてませんけど。」 「嘘をつくな。彼女がハンカチを拾ってくれたのに、乱暴に引っ張ったから転んだんだろう。」 「そんな事はしていません。」 どえらい勘違いをしてますよ、この王子様。 「大丈夫か?」 「ありがとうございます。」 私が手を差し出しても無視してたのに、アレックスがスッと手を差し出すと、ミネルバは嬉しそうにそれを掴んだ。 聖女性格悪い!! あれ? たしかミネルバとアレックスの距離が近付いたのって、こんな状況だった気がする。 「シュナ、謝るんだ。」 「なぜ私が?」 私は何もしてないし、謝る必要なんてないよね。 「殿下、私が気を付けなかったから悪いんです!フェルト様をお叱りにならないでください!」 「……君は優しいな。」 なにかね、この茶番は。
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